クッキーバナーの同意は必要?実装をする意味やツールの選び方を解説

Cookie(クッキー)バナーとは、WEBサイトが訪問者にクッキーの使用について知らせ、同意を求めるためのメッセージやポップアップのことです。
近年では、プライバシーを守るために多くのサイトで見られるようになりました。
しかし、「クッキーバナーの同意にはどんな意味があるのか」「クッキーバナーに同意をしないとどうなるのか」など、疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、クッキーバナーとは何か、必要とされる背景やメリットについてわかりやすく説明します。

Cookie(クッキー)バナーとは

クッキーバナーとは、Webサイトを訪れたユーザーに対して、Webサイトがクッキーを使用していることを通知するポップアップまたはバナーのことです。世界各国のプライバシー保護法制に対応するため、多くのWebサイトで導入されています。

クッキーバナーの主な目的は以下の通りです。

  • 透明性の確保:ユーザーに対し、どのような情報がどのような目的で収集されるかを明確に伝える
  • 同意の取得・保管:必要に応じて、クッキーの使用に関するユーザーの同意を得、その同意記録を保管する
  • 本人関与機会の提供:ユーザーのデータ利用に関する本人関与機会を提供する
  • 法令遵守:各国の関連法規制を遵守していることを示す

スマートフォンやSNSの普及とともに、消費者のプライバシー保護への意識は近年益々高まってきています。この潮流の中で、クッキーバナーの実装は単なる法的義務以上の意味を持つようになりました。

適切に設計されたクッキーバナーを表示することで、Webサイト運営者がプライバシーを尊重していることをWebサイト訪問者に示すことができます。この姿勢は、ユーザーからの信頼獲得、ブランドイメージ向上に寄与する場合もあります。

Cookie(クッキー)とは

そもそもCookie(クッキー)とは、ユーザーがWebサイトを訪れる際に、そのWebサイトからユーザーのブラウザに保存される小さなデータファイルのことで、クッキーは、ユーザーの訪問履歴や設定情報を保存し、次回以降の訪問時にその情報を活用するために使用されます。(クッキー以外のトラッキング技術も含め簡略化のため本書では以後クッキーと記述します)

クッキーには大きく分けて2種類あり、1つ目は「ファーストパーティークッキー」で、これは訪問しているWebサイト自身が生成するものです。2つ目は「サードパーティークッキー」で、これは訪問しているWebサイト以外の第三者が生成するクッキーとなります。サードパーティークッキーは主に広告やユーザーをトラッキングする目的で使用されます。

クッキーバナーはこのクッキー利用に関しての情報開示や同意・拒否の機会を提示するツールとして活用されています。

クッキーについては下記のページでも詳しく解説をしています。

クッキーバナーが必要とされる背景

クッキーバナーは、インターネットの普及に伴い、個人データの収集と利用が急増し、プライバシー保護への懸念が世界的に拡大したことで生まれました。

EUのePrivacy Directiveを皮切りに世界各国でクッキーに関する法規制ができ、クッキーバナーはこれらの規制に対応する現実的な手段として多くのWebサイトで取り入れられたという背景があります。

海外におけるクッキー規制

海外、特に欧州連合(EU)では、クッキーの処理に関する規制が厳格化されています。この動きを主導しているのが、ePrivacy DirectiveとGDPR(一般データ保護規則)です。

ePrivacy Directive は2002年に採択され、クッキーに関する規制が開始されました。ePrivacy Directiveでは第5条3項で「ユーザー端末に情報を保存する、あるいはその端末に保存された情報にアクセスすることはユーザーに対して明確かつ包括的な情報が提供され、かつ、処理を拒否する権利が与えられている条件のみで許可される」とされ、クッキーの処理にはユーザーの情報提供と拒否権の付与が必要とされましたが、その後、2009年のePrivacy Directive改正により、クッキーの処理にはユーザーの同意が必要とされました。

そして、GDPR第4条11項により同意は「陳述または明確な積極的行為により表明されたもの」でなければならないとされているため、この要件を満たすために、多くのWebサイトでは、サイト訪問者に対してクッキーのオプトイン同意を求める「クッキーバナー」を表示するようになりました。

また、これらのポップアップは単なる通知ではなく、ユーザーが自らの意思で同意や拒否を選択できる仕組みを提供する必要があり、みなし同意や事前に同意チェックが入っているクッキーバナーは有効な同意にはなりません。

GDPRの影響は EU 域内にとどまらず、EU 市民のデータを扱う可能性のある世界中の企業が、この規制に従う必要があります。違反した場合の罰金は最大2,000万ユーロ、または全世界年間売上高の4%以下のいずれか高い方と定められており、企業にとって無視できないリスクとなっています。米国でも、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)をはじめとする州法が制定され、クッキー規制の流れが強まっています。これらの規制により、グローバルに事業を展開する企業は、地域ごとに異なるクッキー規制に対応する必要に迫られています。

日本におけるクッキー規制

日本では、クッキーに特化した法律は現時点で存在しませんが、個人情報保護法の改正により、クッキーの取り扱いに関する規制が徐々に強化されています。

2022年4月に施行された改正個人情報保護法では、クッキー等の識別子情報やクッキーにより収集したある個人のWebサイト閲覧履歴等、個人情報ではないもののある個人に関するあらゆる情報が個人関連情報と定義され、個人関連情報を第三者に提供して、第三者において個人関連情報を個人データと紐付けて利用する場合、予め本人の同意を取得していることを確認する義務が課せられました。

しかし、EUのGDPRほどクッキーの規制が厳しいわけではなく、法的義務でないケースの場合はクッキーバナーを出す必要はありません。ただ、ユーザーからの信頼を得るという観点で日本インタラクティブ広告協会はオプトアウト方式での実装を推奨しています。

結果として、日本では法的義務が無いケースにおいて、特にブランドサイトではクッキーバナー導入が少ないために「透明性」の確保と「本人関与機会の提供」ができていない点が課題となっています。コーポレートサイトではプライバシー保護対応を行っている姿勢を見せるために導入する企業が増えていく一方で、ブランドサイトなどではクッキーバナーが表示されることでサイトデザインに影響が出てしまうことから導入を控えるケースも珍しくありません。

クッキーバナー実装で利便性が向上すること

海外法規制への対応

クッキーバナーを導入することで、WebサイトはGDPRなどの海外法規制に準拠し、リスクを低減できます。特にGDPRでは制裁金も多額であることから、法的リスクを抑えることは非常に重要となります。クッキーバナーを適切に実装することで、安心してグローバル展開を進めることができます。

ユーザーの信頼を得る

クッキーバナーを適切に導入することで、Webサイトがユーザーのプライバシー保護を重視していることを示すことができます。

これにより、ユーザーからの信頼を得やすくなり、長期的な関係構築に役立ちます。ユーザーが安心して利用できる環境を提供することは、結果としてサイトやサービスの利用頻度や滞在時間の向上、企業ブランディングにもつながるでしょう。

クッキーバナー実装のポイント

クッキーバナーは対応する国や地域によって必要な実装要件が変わります。そのため、対象サイトがどこの地域のユーザーに向けて発信をしているサイトなのか、Webサイト上で利用しているサービスを把握することが大事です。

日本ではほとんど不要なオプトイン同意

日本においては、オプトイン同意が必要なケースは、上述の個人関連情報第三者提供規制に係る場合の他、要配慮個人情報の取得時やデータの第三者提供をする場合など限定的となります。

上記のケースに当てはまらない場合は同意の取得は不要で、オプトアウトの機会を提供する対応で問題ありません。そのため、サイトのデザインに配慮をしてクッキーバナーを表に出さないという対応方法もあります。

ダークパターンにならないように気をつける

クッキーバナーを実装する際に、ユーザーの同意を得るためにダークパターンに該当するような設計を行うことは避けるべきです。

ダークパターンとは、ユーザーを意図的に誘導して不本意な選択をさせる手法のことを指します。例えば、「同意する」というボタンのみ目立ち、拒否する項目がわかりにくいというケースなどがクッキーバナーにおけるダークパターン例として挙げられます。

クッキーバナーがこうした手法に該当しないよう、ユーザーが自らの意思でアクションをできるようなデザインを心がけましょう。

本人関与の機会を提供する

ユーザーがクッキーを拒否したい場合、いつでも拒否(オプトアウト)できるような本人関与機会の仕組みをしっかりと整えることが重要です。

そして大事なことはいつでも簡単に設定できるようにすることです。仮に仕組みとして備わっていたとしてもユーザーにとってわかりにくい設計となっていたら改善しなくてはいけません。

処理の内容について分かりやすく記載する

クッキーによって取得されるデータやその利用目的について、分かりやすく記載することも重要です。内容がわかりにくく、最終的に何を目的としてどんなデータを取得するのかわかりにくい内容では透明性が高いとは言い難いでしょう。

専門的な知識がない方でもわかりやすい記載で、積極的に情報開示を行うなど、透明性を重視した記載は、Webサイトの信頼性を高め、ユーザーとの良好な関係を築く一助となります。

無料のクッキーバナーには注意が必要

無料で提供されているクッキーバナーはコストがかからず導入ハードルが低いですが、法的側面でしっかりと対応できているか不明な場合や、ダークパターンに該当するものが含まれていることもあります。

また、細かい設定ができない、ツールのアップデートが遅れるなどリスクも考慮する必要があります。これらのリスクを避けるためには、信頼できる有料のクッキーバナーを実装し、しっかりとサポートを受けることが望ましいでしょう。

クッキーバナーは実用的で信頼できるツールを利用しよう

プライバシー保護への対応という観点から、クッキーバナーには多くのメリットがあり、導入にあたっては実用的で信頼できるツールを利用するのがおすすめです。

例えば、クッキーバナーは導入したいけどWebサイトのUI/UXを毀損してしまうため導入を躊躇しているという場合はIIJが提供するSTRIGHT(ストライト)がまさに最適なプライバシーツールです。

STRIGHTはクッキーバナーを表示せず、代わりにフッターに「プライバシー設定」などのテキストリンクを設置することで、クッキーに関する情報提供や本人関与機会を提供可能です。結果的にUI/UXに影響を与えることなく、ユーザーのプライバシー保護も行えます。

また、STRIGHTはIIJが作った国産のツールであり、日本語によるマニュアルの完備やサポート体制が充実しているため、初めて導入する方でも安心してサイトへの実装まで進めることができます。いまや、企業がユーザーから十分な信頼を得るためには法令遵守のみでは足らず、さらに枠を広げてプライバシー保護の取り組みをすることが大事です。しかし、クッキーバナーの表示が不要なケースであるにも関わらず、毎日表示されるような状態ではユーザー体験としてはあまり良くないかもしれません。

STRIGHTならユーザーにストレスを与えることなく透明性のある情報開示と本人がいつでも拒否できる本人関与機会の提供をすることができます。

プライバシー保護とユーザー体験を損なわないツールを導入したという姿勢を示すことは最終的に社会的信用の獲得やブランド力に繋がるでしょう。

これらのポイントを満たすのはIIJのSTRIGHT(ストライト)

  • クッキーバナーを実装したいけどデザインを壊したくない
  • 国内外の法規制に対応したクッキーバナーを導入したい
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